遼寧省大連市で8月31日、「智能化工イノベーションセンター」が発足した。同時に中国科学院大連化学物理研究所が主導する化学工業向けAI大規模モデル「智能化工大模型3.0 Pro」が発表され、大連理工大学もスマート分子工学の研究拠点整備を開始した。
大連高新技術産業園区は、今回のセンターを中国初の化学工業分野に特化したAIイノベーションプラットフォームと位置付ける。英歌石科学城を拠点に、大連化物所、大連理工大学、大連市のAIコンピューティング基盤を結び、分子設計、ロボット実験、仮想パイロット試験、生産設備の最適化までを一体化する構想だ。
大連は石油化学産業を基幹産業の一つとしてきた一方、日本企業との経済交流も長い。今回の取り組みは、従来型の化学工場集積から、研究開発とAIを組み合わせた高付加価値産業への転換を進める動きと見ることができる。
日本企業にとっては、化学材料、分析機器、研究装置、プロセス制御、安全管理などで協業の可能性がある。AIモデルそのものだけでなく、AIが学習するための実験データを生み出す装置や、実際の工場設備へ結果を反映する制御技術が必要になるからだ。
ただし共同研究では知的財産、データの所有権、成果物の利用範囲を契約で明確にすることが重要である。中国の研究機関や大学と技術協力を行う場合、日本側の輸出管理や技術提供規制も確認する必要がある。大連の新拠点は、日中の化学・製造分野で新しい技術交流の接点となり得る。