中国工業情報化部は8月26日、第15次5カ年規画(2026~2030年)における工業分野の取り組みについて説明した。中心となるテーマの一つが人工知能(AI)と製造業の融合で、中国政府はAIを単独のIT産業としてではなく、製造業全体の生産性と製品競争力を高める基盤技術として位置付けている。
供給面では、ハイエンドAIトレーニング用チップ、マルチモーダルアルゴリズムなど重要技術の研究開発を支援する。さらに脳型AI、世界モデルなどの先端技術、人型ロボット、ブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)など新しいスマート端末の開発を推進する方針だ。
AIの用途は電子機器だけではない。鉱山機械、農業機械、医療機器などのスマート化も対象とされ、今後5年間で中国製造業の幅広い分野にAIが組み込まれる可能性がある。
日本企業にとって、この政策は競争と商機の両面を持つ。中国メーカーの自動化や製品開発速度が上がれば、日本製設備や部品にとって競争圧力になる。一方、高精度センサー、工作機械、材料、計測、品質管理など、中国のスマート工場を支える部材・技術には新しい需要が生まれる可能性がある。
中国工場を持つ日本企業も、AI導入を単なる本社IT部門のテーマとして扱うのではなく、生産計画、設備保全、検査、物流、エネルギー管理など現場単位で検討する必要がある。中国の産業政策がAI実装段階へ移る中、日系製造業も現地の大学、研究機関、システム企業との協業を含めて技術戦略を再検討する時期に入っている。