中国国家発展改革委員会と国家市場監督管理総局は9月、重要工業品の低価格による無秩序な競争を是正するため、原価算定に関する通知を公表した。低価格競争が目立つ重要工業品の生産分野を対象に、必要に応じて企業の原価調査を実施できる仕組みを明確にした。

通知では、原則として企業が特定製品を生産する個別原価を基礎とし、個別原価を算出できない場合は業界平均原価などを参考にするとした。財務報告、原始証憑、生産能力の利用率なども原価算定の要素になる。中国で問題視される「内巻」と呼ばれる過度な価格競争への制度対応の一つと位置付けられる。

日本企業にとって、この政策は中国製品の価格が一律に上昇するという意味ではない。ただし、赤字覚悟の販売や極端な値下げ競争への行政対応が強くなれば、一部の工業製品では価格形成や供給企業の淘汰に影響する可能性がある。

中国から部材を調達する企業は、最安値だけで仕入先を選ばないことが重要になる。過度に安い価格には、品質管理不足、設備投資不足、原材料変更、キャッシュフロー悪化などが隠れている場合がある。長期契約では、価格だけでなく財務状態、品質記録、生産能力、主要原料の調達状況を確認すべきだ。中国で進む価格秩序の見直しは、日本企業の調達戦略にも中長期的な影響を与える可能性がある。