中国で「国務院関於対外投資的規定」が2026年7月1日に施行された。規定は中国国内の投資者が海外の企業、資産などの所有権、支配権、経営管理権その他の権益を直接・間接に取得する対外投資を対象とし、対外投資の管理、公共サービス、リスク管理などの基本的な枠組みを定めている。
対象となる投資者には中国国内の企業その他の組織に加えて居民個人も含まれる。中国企業が日本法人を設立する、日本企業へ出資する、日本の不動産や事業資産を取得するなどの案件では、日本側の会社法、外為法、業法だけでなく、中国側で必要となる対外投資手続きも確認する必要がある。
規定では、政府部門が法律・政策、投資ガイド、知的財産、リスク対応、権益保護などの公共サービスを提供することや、法律、会計監査、信用評価、仲裁、知的財産などの専門サービス機関による海外支援ネットワークの整備も示された。金融機関についても、リスク管理を前提に海外投資向け金融サービスを提供する方向が明記されている。
日本企業が中国企業から出資・買収提案を受ける場合、最も重要なのは「中国側が資金を持っている」という確認だけではない。中国側で当該投資を実行するために必要な社内決議、政府手続き、外貨送金の条件を確認しなければ、契約締結後に資金を送れない事態が起こり得る。契約ではクロージング条件として必要な中国側手続きの完了を明記することが実務的だ。
日本側でも、業種や投資内容によって外国為替及び外国貿易法に基づく対内直接投資等の事前届出・事後報告が関係する可能性がある。さらに不動産、金融、通信、医療など業種固有の規制も確認する必要がある。
中国企業の海外進出は、製造業だけでなく販売、EC、物流、サービス、研究開発へ広がっている。日本企業にとって中国企業は競争相手である一方、資本・販路・製造力を組み合わせる協業相手にもなり得る。今回の規定施行を機に、中国企業との日本での投資案件では、日中双方の法務・資金移動手続きを初期段階から並行して確認することが一段と重要になっている。