中国商務部、国家発展改革委員会、財政部は2026年6月、「利用外資固穏促優行動方案」を公表した。外資誘致を単に量で増やすのではなく、市場参入の拡大、投資促進、外資企業の中国国内での再投資などを通じ、外資の安定と質の向上を図ることが狙いだ。
市場参入ではサービス業の開放を進める方針が示された。職業技能訓練機関、職業学校、高水準の理工・農・医系大学などについて対外開放試行を着実に拡大するほか、北京の国家サービス業拡大開放総合モデル区でデジタル経済や医薬・健康などの開放措置を先行させる方針が含まれている。
日本企業にとって注目すべきなのは、新規投資だけでなく、中国ですでに利益を上げている外資企業の「境内再投資」が政策対象となっていることだ。中国国内の外商投資企業が未分配利益を使って新会社を設立する、既存会社を増資する、他社の持分を取得する、投資プロジェクトへ資金を振り向けるといった行為が対象になり得る。
これは、中国法人に利益を蓄積している日本企業にとって重要な選択肢となる。日本本社から新たな資金を送るのではなく、中国で生じた利益を次の設備投資、研究開発、販売拠点の拡張に利用できれば、資金移動の効率を高められる可能性がある。一方、日本本社へ配当する場合との税負担や資金需要を比較する必要がある。
ただし、奨励策があるからといって全ての再投資に同じ優遇が適用されるわけではない。投資先業種、地域、プロジェクト内容、外資参入条件、税制、土地、環境審査などを個別に確認しなければならない。地方政府が提示する補助金についても、支給条件、達成すべき投資額、売上、雇用、研究開発費などを契約前に確認することが重要だ。
中国への新規進出を検討する日本企業にとっても、中央政府の外資政策と地方政府の招商政策を分けて理解する必要がある。中央政策が方向性を示し、実際のプロジェクト支援は省、市、区、開発区が具体化する場合が多い。投資候補地を比較する際には、優遇額だけでなく産業集積、顧客、物流、人材、行政サービスまで総合的に評価することが求められる。