中国国家市場監督管理総局は2026年8月、独占協定に関する個人責任の適用を具体化するガイドラインの意見募集稿を公表した。中国の独占禁止法では、事業者が独占協定を締結した場合、会社だけでなく、法定代表者、主要責任者、直接責任を負う人員などに責任が及ぶ仕組みが導入されている。今回のガイドライン案は、どのような行為を行った個人が処分対象になるのかを、より明確にすることを目的としている。

中国市場では販売代理店との再販売価格、競合企業との価格・市場情報交換、地域分割、顧客分割などが独禁法上の問題となり得る。日本企業の中国法人でも、本社の指示や業界慣行を理由に安全と考えることはできない。現地法人の責任者や営業幹部が協議に参加し、独占協定の締結・実施を組織したと判断されれば、企業処分とは別に個人責任を問われる可能性がある。

日本企業にとって実務上重要なのは、中国子会社の独禁法コンプライアンスを法務部門だけに任せないことだ。営業担当者、販売代理店管理者、経営幹部にも具体例を用いた教育が必要になる。特に競合企業との会食、業界団体会合、代理店との価格協議などは日常業務の中でリスクが生じやすい。

中国の競争法運用は、企業への罰金だけでなく、責任者個人の関与状況を確認する方向へ進んでいる。日本企業は会議記録、承認プロセス、価格決定手順を整備し、違反の疑いがある場合に社内で速やかに報告できる仕組みを構築する必要がある。