北京市は8月31日、中国(北京)自由貿易試験区と周辺地域を一体的に発展させる「連携発展区建設プラン」を発表した。対象となるのは海淀区、昌平区、朝陽区、順義区、通州区、大興区、北京経済技術開発区に加え、豊台区、石景山区、門頭溝区、懐柔区の一部で、総面積は119.2平方キロメートル。自由貿易試験区内に限定されていた制度革新や産業支援の効果を、周辺の産業集積地へ広げることが狙いだ。

重点産業には医薬・ヘルスケア、人工知能、集積回路、商業宇宙の4分野が挙げられた。北京は大学、研究機関、大手IT企業、中央政府機関が集中する一方、研究成果を量産や市場化につなげるためには複数地域の連携が必要となる。今回の計画は、自由貿易試験区を単独の優遇区域としてではなく、市全体の産業高度化を促す制度実験の中心として位置付けている点が特徴である。

日本企業にとっては、北京への進出を検討する際に行政区単位ではなく、産業クラスター単位で立地を選ぶ必要性が高まる。例えば医療関連であれば研究機関や病院へのアクセス、半導体関連であれば顧客・設計企業との距離、AI分野ではデータと人材環境が重要になる。

実務上は、連携発展区に含まれたからといってすべての企業に同一の優遇策が適用されるわけではない。業種、企業規模、研究開発内容、投資額などにより利用可能な支援策は異なる。進出時には所在地の開発区や商務部門に制度適用条件を確認し、税制、補助金、データ管理、外資参入規制を個別に確認することが重要だ。