北京市は2026年8月31日、「中国(北京)自由貿易試験区の連携発展区建設プラン」を公表した。北京自由貿易試験区が所在する海淀区、昌平区、朝陽区、順義区、通州区、大興区、北京経済技術開発区に加え、豊台区、石景山区、門頭溝区、懐柔区の一部を含む計11区域、119.2平方キロメートルを連携発展区として整備する。

今回の特徴は、自由貿易試験区の政策を単純に地域拡大するのではなく、「産業+区域」の考え方で制度、研究開発資源、産業集積、プラットフォームを結び付ける点にある。重点分野には医薬・ヘルスケア、人工知能、集積回路、商業宇宙の4産業が挙げられた。例えば海淀ではAI関連の研究開発から中間試験、実用化までを結ぶ産業チェーン形成が想定され、懐柔では集積回路の材料、デバイス、パッケージ、検査などを支えるプラットフォーム整備が進められる。

日本企業にとって重要なのは、北京進出を検討する際に従来の行政区単位だけで立地を判断する必要がなくなる点だ。研究開発は海淀、製造・実証は亦庄、空港物流や国際取引は順義など、事業機能ごとに複数区域を組み合わせる選択肢が広がる。特に医療機器、半導体関連装置、AIソフトウエア、試験・計測、研究サービスなどでは、現地企業との共同開発や技術供給の機会が増える可能性がある。

一方、連携発展区に指定されたこと自体が、すべての企業に同一の優遇を保証するものではない。具体的な補助制度、外資認定、税制、土地利用、データ越境などの条件は区域・案件ごとに確認する必要がある。北京での新規事業では、政策名だけでなく、実際に利用可能な産業支援と担当部門を事前に確認することが実務上のポイントとなる。